看護師が休職したいと感じる理由とは?休職期間や傷病手当についても
「もう看護師の仕事を続けるのは限界かもしれない」
「一度しっかり休みたい」
と感じている看護師の方も多いのではないでしょうか。
命を預かる責任、人間関係、夜勤などのストレスが重なり、心身が疲れてしまう方もいます。
休職は、自分自身を守るための選択肢です。
本記事では、看護師の休職が多い理由やメンタル不調の実態、診断書の要否、休む流れ、休職期間、傷病手当金、復職後の働き方まで解説します。
看護師に多い休職理由
看護師は、他職種と比較しても休職率が高い傾向にある職業です。
厚生労働省や日本看護協会の調査によれば、看護師は精神的・身体的な負担が大きく、心身の不調を抱える人が一定数存在することが報告されています。
背景には、医療現場特有のストレス要因が複合的に絡み合っており、個人の弱さの問題ではありません。
ここからは、看護師が休職に至る代表的な理由を5つの視点から詳しく見ていきます。
参考:厚生労働省_令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表します
参考:日本看護協会調査研究報告_2025 年 病院看護実態調査 報告書
人間関係のストレス
看護師の職場は、医師・先輩看護師・患者・患者家族など、関わる人の数が多いという特徴があります。
看護師はそれぞれの立場から異なる要求を受けることで、板挟みになりやすいとされています。
さらに、閉鎖的な職場文化やいじめ、派閥といった人間関係のトラブルもあります。
特に新人の看護師は、指導者や先輩との関係構築に悩み、心をすり減らしてしまうケースが多く見られます。
人間関係の悩みは、休職理由として上位に挙げられる要素のひとつです。
業務量と責任の重さによる心身の疲労
看護師は患者の命を預かるという、重い責任を担う仕事です。
加えて、慢性的な人手不足により残業が必要になる場合も多く、中には休憩も満足に取れない現場もあります。
こうした業務量の多さと責任の重圧が長期間続くことで、心身ともに疲弊し、ある日突然限界を迎えてしまう看護師はたくさんいます。
夜勤・交代制勤務による生活リズムの乱れ
夜勤や交代制勤務は、自律神経のバランスを乱し、不眠や慢性的な体調不良を引き起こす要因となります。
特に、睡眠不足が積み重なると、身体的な疲労だけでなくメンタル不調にも影響を与えます。
さらに、家族や友人と生活時間が合わなくなることで、孤立感を覚えることもあるでしょう。
休みの日は十分な睡眠時間を確保し、趣味などでリフレッシュすることが大切です。
メンタル不調の発症
看護師は、うつ病や適応障害などのメンタル疾患の発症率が高い職種とされています。
特に、真面目で責任感が強く、患者のために頑張ろうとする人ほど、自分の不調を後回しにして抱え込みやすい傾向があります。
自覚のないまま症状が進行し、気づいたときには出勤が困難になっているケースも見られます。
メンタル不調は早期発見・早期対応が重要であるため、異変を感じたら周囲に相談しましょう。
プライベートとの両立の難しさ
結婚・出産・育児・介護といったライフイベントと、看護師の勤務形態の両立は難しいです。
夜勤や不規則なシフトによって、家族との時間を確保しにくくなるためです。
また、育児中の看護師が職場の理解を得られず、心身ともに限界を感じて休職に至るケースも多く見られます。
プライベートでの負担と仕事の負担が同時にのしかかることで、バランスを崩してしまうのです。
看護師が休職したいと感じる代表的なサイン
「看護師を休職したい」と感じている時点で、すでに体や心がSOSを発している可能性があります。
ここでは、見逃してはいけない代表的なサインを具体的に解説します。
職場に向かうのがつらい
出勤前になると涙が止まらない、吐き気や腹痛が出るといった身体症状が現れている場合は要注意です。
また、休日であっても仕事のことが頭から離れず、リラックスできない状態が続いているなら、心が限界に近づいているサインといえます。
こうした症状は、無理を続けると悪化する可能性が高いため、早めに医療機関への相談を検討しましょう。
眠れない・食欲がない日が続いている
睡眠障害は、メンタル不調の典型的なサインのひとつです。
寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、早朝に目覚めて眠れないといった症状が続いている場合は注意が必要です。
また、食欲がなくなる、逆に食べ過ぎてしまうといった食行動の変化や、体重の急激な変動も心の不調を示す重要なサインです。
仕事中のミスや物忘れが増えた
集中力や判断力の低下は、心身が疲弊している証拠です。
普段ならしないようなミスが続いたり、物忘れが増えたりしている場合は、脳が休息を必要としている可能性があります。
看護師の場合、インシデントが続くことでさらにプレッシャーが増し、悪循環に陥りやすい点が問題です。
ミスが増えたと感じたら、早めに休息を取ることが重要です。
休日も気分が晴れない
これまで楽しめていた趣味に興味が持てなくなった、何をしていても無気力で楽しいと感じられない状態が続いている場合は、うつ病の可能性も視野に入れる必要があります。
休日に気分転換ができないということは、心が休まる時間を失っているということです。
我慢を続けず、専門家への相談を検討しましょう。
新人看護師にも多いうつ病・メンタル不調
厳しい現場に飛び込んだばかりの新人が、心身のバランスを崩してしまうことは多いとされています。
ここでは、新人看護師がメンタル不調に陥りやすい背景や時期、そして無理を続けることのリスクについて解説します。
新人看護師がうつ病になりやすい背景
新人看護師がメンタル不調に陥りやすい理由のひとつが、理想と現実のギャップです。
学生時代に思い描いていた看護の姿と、現場の厳しさとの落差に戸惑い、自信を失う新人は多く存在します。
また、プリセプター制度における指導者との相性や、学生時代との生活リズム・責任の重さの落差も、心身に負担を与える要因となっています。
新人がうつ病になりやすい時期
新人看護師には、メンタル不調を起こしやすい時期があるとされています。
特に入職してから3ヵ月、6ヵ月、そして1年目の壁と呼ばれるタイミングは要注意です。
また、ゴールデンウィーク明けや夜勤デビュー前後など、環境が変化するタイミングも心身に負担がかかりやすい時期といえます。
こうした時期には、特に自分の状態に気を配ることが大切です。
新人時代に無理を続けるリスク
新人時代に無理を続けてしまうと、メンタル不調が慢性化し、回復に時間がかかってしまう恐れがあります。
早めに休職という選択を取ることはむしろ、長期的なキャリアを守るための賢明な判断といえます。
早期に対応することで、看護師として再び働ける可能性が高まるのです。
看護師がメンタル不調で休むときの流れ
実際に「仕事を休もう」と決めたとしても、どのように行動すればよいのかわからず戸惑う方も多いでしょう。
休職の準備は、一人で抱え込まず段階的に進めていくことが大切です。
ここでは、メンタル不調で休職する際の具体的な流れを時系列で紹介します。
- まずは心療内科・精神科を受診する
- 上司・人事に相談する
- 職場の規程を確認する
- 休職中の連絡ルールを決めておく
まずは心療内科・精神科を受診する
最初のステップは、心療内科や精神科の受診です。
病院やクリニックを選ぶ際は、口コミや通いやすさを参考にするとよいでしょう。
受診をためらってしまう方も多いですが、専門家の診断を受けることで自分の状態を客観的に把握でき、今後の方針を立てやすくなります。
また、自分でできる対応には限界があるため、早めの受診が大切です。
上司・人事に相談する
医師の診断を受けたら、職場に相談しましょう。
直属の上司に話しにくい場合は、看護部長や人事担当者へ相談する方法もあります。
伝え方のコツとしては、感情的にならず、事実ベースで体調を中心に話すことが挙げられます。
診断書がある場合は提出することで、話がスムーズに進みやすくなります。
一人で抱え込まず、信頼できる相手に状況を共有しましょう。
職場の規程を確認する
休職を申請する前に、職場の就業規則を確認しましょう。
休職制度の有無や申請方法、必要な書類、休職が可能な期間などは職場によって異なります。
特に提出書類は期日が決められているものもあるため、事前に把握しておくことが大切です。
不明な点は人事担当者に確認することで、トラブルを防ぐことができます。
休職中の連絡ルールを決めておく
休職に入る前に、職場との連絡ルールを明確にしておくことも重要です。
連絡頻度や連絡手段(メール・電話のどちらか)を取り決めておくことで、休職中にかかる負荷を減らすことができます。
また、復職時期のすり合わせ方についても、あらかじめ話し合っておくとよいでしょう。
お互いの認識を一致させておくことが、安心して療養するために必要です。
看護師は診断書なしでも休職できるのか
休職を考えるとき、多くの方が不安に感じるのが「診断書なしでも休めるのか」という点です。
結論、診断書の要否は職場の規程や休む期間によって異なります。
ここでは、診断書が必要なケース、診断書なしでも休める例外的なケース、そして診断書を取得するメリットについて解説します。
自分の状況に合わせて、最適な方法を選んでいきましょう。
基本的には診断書が必要なケースが多い
多くの職場では、一定期間以上の休職を申請する際に診断書の提出を求められます。
また、傷病手当金の申請にも医師の診断書や意見書が必要です。
診断書は、休職の正当な理由を示す重要な書類です。
長期の休職を希望する場合は、早めに医療機関で診断書を取得しておくとスムーズに手続きを進めることができます。
診断書なしでも休める例外的なケース
短期間の休みであれば、有給休暇や特別休暇を活用することで診断書なしでも対応が可能です。
数日程度の体調不良での欠勤は、診断書を求められないケースもあります。
また、職場との交渉によって柔軟に対応してもらえる場合もあるため、まずは上司や人事に相談してみるとよいでしょう。
状況に応じて適切な制度を選ぶことが大切です。
診断書を取得するメリット
診断書を取得することには、いくつかのメリットがあります。
休職や復職の根拠が明確になることはもちろん、傷病手当金などの各種制度を利用しやすくなる点もメリットです。
さらに、復職時に時短勤務などの調整を依頼する際にも、診断書があることで職場との交渉がスムーズに進みます。
長期的な視点で考えると、診断書の取得は心強い味方となるでしょう。
看護師の休職期間はどのくらいが目安か
休職期間は、症状の重さや個々の状況によって異なります。
ここでは、症状別の休職期間の目安、職場の就業規則による期間の違い、そして休職期間中にやっておきたいことについて解説します。
焦らず、自分のペースで回復に向かうことが大切です。
職場の就業規則で定められた休職期間
休職期間の上限は、職場の就業規則によって異なります。
多くの病院では6ヵ月から1年半程度を上限と定めていますが、勤続年数によって期間が変わる場合もあります。
自分の職場の規程を事前に確認し、必要に応じて延長手続きの方法も把握しておきましょう。
職場の規程を理解しておくことで、安心して療養に専念できます。
休職期間の一般的な目安
ここでは、休職期間の一般的な目安について解説します。
これらはあくまで目安であり、個人によって変わるため参考程度にしましょう。
期間の区分
| 期間の目安
| 該当する症状例
|
短期
| 1〜3ヵ月
| 軽度のメンタル不調・身体的な疲労
|
中期
| 3〜6ヵ月
| うつ病・適応障害など
|
長期
| 6ヵ月〜1年以上
| 重度の症状・再発予防が必要なケース |
休職期間中にやっておきたいこと
休職中は、まず生活リズムを整えることを優先しましょう。
規則正しい睡眠と食事は、心身の回復に重要です。
また、通院と服薬の継続も忘れずに行いましょう。
回復が進んできたら、復職や転職の方向性を少しずつ考え始めることもおすすめです。
焦らず、自分のペースで一歩ずつ進めていきましょう。
看護師が休職中に活用したい傷病手当金
「休職中の収入はどうすればよいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
収入が途絶えることへの不安は、療養に専念する妨げにもなるでしょう。
しかし、健康保険には「傷病手当金」という所得補償制度が用意されています。
この制度を知っているかどうかで、休職中の生活の余裕が変わります。
ここでは、傷病手当金の仕組みや申請方法について詳しく解説します。
傷病手当金とは
傷病手当金は、健康保険から支給される所得補償制度のひとつです。
業務外のケガや病気で働けなくなったときに、生活を支えるために利用できます。
看護師の方が加入している健康保険組合や協会けんぽから支給されるため、休職中の経済的な不安を軽減してくれ、条件を満たせば、申請することができます。
なお、傷病手当金は業務外の病気やケガであることが前提となり、業務上の傷病は労災保険の対象となるため注意が必要です。
待期期間として連続する3日間の休みが必要で、4日目以降から支給対象です。
支給される金額の目安
支給される金額は、標準報酬日額のおよそ3分の2が目安です。
しかし、実際の金額は加入している健康保険組合や個人の標準報酬月額によって異なるため、詳しくは加入先に確認しましょう。
支給される期間
傷病手当金は、同一の傷病につき通算で最長1年6ヵ月まで支給されます。
以前は支給開始から1年6ヵ月が上限でしたが、現在は通算制度が採用されており、復職した期間を除いて実際に支給を受けた期間が通算されます。
長期の療養が必要な場合でも、一定期間は経済的な支えとなる制度です。
申請の流れ・必要書類
傷病手当金の申請には、申請書の提出が必要です。
申請書には被保険者本人の記入欄に加え、事業主(職場)と医師の記入欄があります。
それぞれに記入してもらい、健康保険組合または協会けんぽへ提出します。
申請から手当金の振込までは、おおむね1〜2ヵ月程度かかるのが一般的です。
初回の申請は時間がかかる場合もあるため、早めに準備を進めることをおすすめします。
傷病手当金以外に使える制度
傷病手当金のほかにも、活用できる制度がいくつかあります。
自立支援医療制度は、精神疾患の医療費の自己負担を軽減してくれる制度です。
退職する場合には、失業給付(雇用保険)も利用できます。
また、自治体によっては独自の支援制度を設けているところもあるため、お住まいの自治体の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。
利用できる制度を組み合わせることで、休職中の経済的負担を軽くできます。
まとめ
休職は、心と体を守るための選択肢です。
心身の異変を感じたら、受診や相談、傷病手当金などの制度を積極的に活用し、無理せず療養することが大切です。
また、復職する際はいきなりフルタイムに戻るのではなく、単発バイトやスキマバイトなどから慣らしていく働き方もおすすめです。
「KANTAN!(カンタン)」では、自分のペースで働ける単発・スキマバイトのお仕事をご紹介しています。
月1回・3時間程度から勤務でき、気になる職場を実際に確認することできるだけでなく、土日の募集もあり、給与は日払い制です。
復職への第一歩や、自分に合った働き方を見直すきっかけとして、ぜひ活用してみてください。
よくある質問
最後に、休職を考えている方からよく寄せられる質問にお答えします。
看護師は休職しても給料はもらえる?
基本的に、休職中は給料が支給されないケースがほとんどです。
ただし、職場の就業規則によっては、一定期間給与の一部が支給される場合もあります。
給料が支給されない場合でも、健康保険の傷病手当金を申請することで、標準報酬日額のおよそ3分の2が支給されます。
経済的な不安を軽減するためにも、早めに制度を確認し、申請の準備を進めましょう。
看護師は休職中に転職できる?
休職中の転職は、制度上は可能ですが慎重に判断する必要があります。
特に、就業規則・服務規律・副業規定・傷病手当金の労務不能性との整合に注意が必要です。
心身の回復を優先し、十分に療養してから次のキャリアを考えることをおすすめします。
また、休職中に転職活動を行う場合は、現職の就業規則に違反しないか確認することが大切です。
復職後に環境を変えたい場合は、単発バイトやスキマバイトで様子を見ながら、自分に合った職場を探していく方法もあります。