准看護師と正看護師の違いは?給料・仕事内容やなり方も徹底解説
医療の現場で活躍する看護職には、准看護師と正看護師という2つの資格があります。
資格取得の方法や就職後のキャリアパス、給与水準など、さまざまな違いがあるため、この記事では、准看護師と正看護師のそれぞれの特徴や違いから資格取得、将来のキャリアまで詳しく解説します。
准看護師と正看護師の違いとは
項目
| 准看護師
| 正看護師
|
資格の種別
| 都道府県知事が発行
| 国家資格(厚生労働大臣)
|
取得方法
| 都道府県試験
| 国家試験
|
業務範囲
| 医師・正看護師の指示のもとで実施
| 自己判断で看護計画の立案・実施が可能 |
看護職を目指す際、准看護師と正看護師という2つの選択肢があります。
どちらも医療現場で重要な役割を担っていますが、資格の性質や取得方法、教育内容など、多くの点で異なります。
以下で、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
資格の取得方法
准看護師は都道府県知事が発行する資格で、各都道府県で実施される試験に合格する必要があります。
一方、正看護師は厚生労働大臣が発行する国家資格で、全国統一の国家試験に合格することが求められます。
准看護師試験の合格率は96%以上と比較的高く、正看護師の国家試験と比べて取得のハードルは低いです。
准看護師として実務経験を積んだ後に、正看護師の資格を取得することも可能です。
教育課程の違い
項目
| 准看護師
| 正看護師
|
教育期間
| 2年(養成所)/3年(高校衛生看護科)
| 3年(専門学校・短大)/4年(大学)
|
履修時間
| 1,890時間以上
| 3,000時間以上
|
入学要件
| 中学卒業以上
| 高校卒業以上
|
課程の種類
| 全日制・定時制
| 全日制、通信制
|
※参考 厚生労働省 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインについて
准看護師と正看護師では、必要な教育期間と履修時間に大きな違いがあります。
准看護師は比較的短期間での資格取得が可能である一方、正看護師はより長期的な専門教育が求められます。
それぞれの具体的な進路について見ていきましょう。
准看護師の進路
准看護師を目指す場合、中学校卒業後に2年制の准看護師養成所、または高校の衛生看護科で3年間学ぶ必要があります。
養成所には全日制と定時制があり、働きながら資格取得を目指すことも可能です。
必要な履修時間は1,890時間以上と定められています。
正看護師の進路
正看護師になるためには、高校卒業後に看護大学(4年)、看護短期大学(3年)、または看護専門学校(3年)のいずれかで学ぶ必要があり、履修時間は3,000時間以上で、准看護師と比べてより専門的で高度な教育を受けることになります。
学費の違い
項目
| 准看護師
| 正看護師
|
学費
| 養成所ごとに異なる
| 学校種別ごとに異なる
|
国立大学
| ―
| 4年間で約240万円前後が目安
|
私立大学
| ―
| 大学差が大きい
|
特徴
| 助成制度を利用できる場合がある
| 奨学金・授業料減免制度を活用しやすい |
准看護師と正看護師では進学先にもよりますが、学費も大きく変わることも特徴のひとつです。
それぞれ学費について詳しく解説します。
准看護師の学費
准看護師養成所の学費は、2年間で約100~200万円程度です。
全日制と定時制で費用が異なる場合があり、学校によって助成金制度を利用できる場合もあります。
比較的短期間で資格取得が可能で、学費の負担を抑えられる点が特徴です。
正看護師の学費
正看護師の学費は、進学先によって大きく異なります。
看護専門学校で約200〜300万円、国立大学で240万円、私立大学では500〜700万円程度が必要といわれています。
准看護師と比べて負担は大きくなりますが卒業後の給与水準や、より高い教育を受けられ、将来的なキャリアの可能性も広がります。
准看護師と正看護師の仕事内容
医療現場において、准看護師と正看護師ともに患者さんのケアや医師の診療補助を担当します。
しかし、業務の進め方や責任範囲には明確な違いがあります。
准看護師の仕事内容
准看護師は医師や正看護師の指示のもと、患者さんの治療上の世話や診療の補助を行います。
具体的な業務としては、バイタルチェック、点滴・注射・採血、食事・排泄・入浴介助、手術・診療補助、カルテの記入などが含まれます。
ただし、自己判断での医療行為は法律で禁止されており、常に医師や正看護師の指示を受けて業務を遂行する必要があります。
また、看護計画の策定や他のスタッフへの指示出しはできません。
正看護師の仕事内容
正看護師は准看護師と同様に基本的な業務に加え、より高度な判断や責任が求められます。
患者さんの状態を自ら判断し、必要な看護計画を立てる・実行できるのが大きな特徴で、必要に応じて医師への報告を行うことも重要な役割です。
また、准看護師や看護助手への指示出し、夜間勤務時の病棟管理など、リーダー的な役割も担っています。
医療技術の進歩に伴い、正看護師には科学根拠に基づいた看護実践能力が求められ、より専門的な知識と技術が必要とされています。
准看護師にできないこと(業務上の制限)
准看護師は、保健師助産師看護師法上、医師・歯科医師・看護師の指示を受けて業務を行う資格です。
そのため、正看護師に比べると業務上の裁量は限定され、看護計画の立案や現場での判断・調整に関わる役割は主に看護師が担うのが一般的です。
准看護師と正看護師の給料
看護職の給与は、資格や経験年数、勤務先によって大きく異なります。
ここでは准看護師と正看護師の給与面での違いを詳しく解説します。
准看護師の給料
准看護師の平均月給は約29.6万円、年間賞与は62.7万円で、年収は約418万円程度です。
夜勤手当や各種手当を含めても、正看護師との給与差は大きく、キャリアアップによる昇給の機会も限られています。
なお、介護施設や診療所など、准看護師の需要が高い職場では、比較的安定した収入を得られる傾向にあります。
正看護師の給料
正看護師の平均月給は約35.1万円、年間賞与は86.2万円で、年収は約508万円に達します。
これは資格の違いだけでなく、より高度な判断業務や管理職への昇進機会があるためです。
また、夜勤手当や資格手当なども充実しており、キャリアアップに応じた収入増加が期待できます。
准看護師と正看護師のキャリアアップ
看護職のキャリアパスは、資格によって大きく異なります。
将来のキャリア展望を見据えて、それぞれの特徴を理解しましょう。
准看護師のキャリア
准看護師のキャリアパスは、主に臨床経験を積みながら専門性を高めていく形が一般的です。
診療所や小規模病院、介護施設などで基礎的な看護スキルを磨き、経験を積むことで、より高度な医療ケアにも携われるようになります。
また、多くの准看護師が選択するのが、実務経験を活かしながら正看護師資格の取得を目指すキャリアアップです。
2年制や通信制の養成課程を活用することで、働きながら学ぶことも可能です。
正看護師への転換により、より幅広い医療行為や管理職としてのキャリアも視野に入れることができます。
正看護師のキャリア
正看護師のキャリアパスは多岐にわたり、自身の興味や適性に応じて様々な選択肢があります。
臨床経験を積んだ後は、看護師長などの管理職を目指すことができるほか、専門看護師や認定看護師といった高度な専門資格の取得も可能です。
また、大学院に進学して研究者や教育者としての道を選ぶことや、訪問看護ステーションの開設など起業という選択肢もあります。
さらに、産業保健師や学校保健師など、病院以外の施設でのキャリアを築くこともできます。
正看護師は生涯を通じて専門性を高められる職種といえます。
准看護師がおすすめな方の特徴
准看護師は、医療現場での経験を早期に積めることが大きな魅力です。
資格取得までの期間が比較的短く、学費も抑えられるため、以下のような方に特におすすめです。
働きながら資格取得を目指す方
准看護師の養成課程には全日制と定時制があり、定時制なら働きながら資格取得を目指すことができます。
学費も正看護師の養成課程と比べて半分程度に抑えられるので、働きながら資格取得を目指す方も少なくありません。
現場での経験を早く積みたい方
准看護師は最短2年間の養成課程を経て資格を取得できるので、早期に医療現場でのキャリアをスタートできます。
医療現場の経験を若いうちから身に付けたいと考えている人はおすすめです。
将来的に正看護師を目指す場合でも、准看護師としての実務経験は大きな強みとなります。
正看護師がおすすめな方の特徴
正看護師は国家資格であり、幅広い活躍の場と高い収入が期待できます。
特に以下のような考えを持つ方に適しています。
大規模病院でキャリアを築きたい方
正看護師は大規模病院での求人が多く、高度な医療技術や専門知識を習得できる機会に恵まれています。
また、管理職への昇進や専門看護師などの上級資格取得も可能で、長期的なキャリア形成を見据えた方に適しています。
自己判断での医療行為が認められているため、より主体的な看護が実践できます。
安定した収入を求める方
正看護師の給料は准看護師と比べて約90万円高く、より安定した収入が得られます。
特に大規模病院では夜勤手当や各種手当が充実しており、経験年数に応じた昇給も期待できます。
また、管理職への昇進機会があるので、将来的な収入アップも見込めます。
准看護師から正看護師へのキャリアチェンジ方法
准看護師として経験を積んだ後、更なるステップアップを目指す方も多くあります。
以下では、キャリアチェンジの具体的な方法を解説します。
准看護師廃止はいつから?現状と今後の展望
教育水準の統一や看護の質向上を目的として廃准看護師の廃止が検討されてきましたが、現時点では廃止は決定しておらず、制度は継続しています。
背景には、地方や中小規模の医療・介護施設において准看護師が現場を支える重要な存在であるという実情があります。
慢性的な医療人材不足が続くなか、当面は制度が維持される見通しであり、准看護師として安心してキャリアを築くことができます。
准看護師のメリットとデメリット
准看護師の最大のメリットは、比較的短期間で資格を取得できる点です。
中学卒業後2年間の養成課程で受験資格が得られ、働きながらの資格取得も可能です。
看護師の指示の下で基本的な看護業務を担当できるため、初期から実践的な経験を積むことができます。
デメリットは、自己判断での医療行為ができない点や、給与面で正看護師との差が大きいことです。
また、管理職への昇進機会が制限されるなどがあげられます。
准看護師から正看護師へのステップアップ方法
正看護師へのステップアップには、主に3つの道筋があります。
- 2年制の看護師養成所への進学
- 全日制、定時制、通信制から選択可能
- 自分のライフスタイルに合わせた学習が可能
- 実務経験を活かしたステップアップ
- 3年間の実務経験後
- 2年間の養成課程で学習
- 長期実務経験からの進学
- 7年間の実務経験が必要
- 通信制以上の課程で学習
いずれのルートでも看護師国家試験の合格が必須となります。
特に働きながら学ぶ場合は、勤務先の理解や支援を得ることが大切です。
まとめ
准看護師と正看護師には、資格取得の難易度から教育内容、仕事の範囲、給与水準まで、様々な違いがあります。
准看護師は比較的短期間で医療現場での経験を積めるメリットがあり、一方の正看護師は、より高度な医療行為や将来的なキャリアの可能性が広がります。
自身の目標や状況に応じて、適切な選択をすることが大切です。
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